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こんにちは、ファイナンシャルプランナーの畠山です。
北欧住宅について知っていただくために、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、アイスランド各国の気候や文化、暮らしぶり、住宅の特徴などをお伝えしていくシリーズとして、前回までにスウェーデンとデンマークについてご紹介しました。
そちらの記事については以下よりご覧ください。
今回は日本でも人気のキャラクター「ムーミン」誕生の地、フィンランドを取り上げてみたいと思います。
目次
フィンランドは正式名称をフィンランド共和国といい、西にスウェーデン、東にロシアと隣接しています。首都ヘルシンキへは成田、羽田、名古屋、大阪、そして福岡、札幌からの直行便が出ており、最短最速で9時間30分ほどで行けます。
意外と近いと感じられた方もいらっしゃると思いますが、「日本から一番近いヨーロッパの国」なんです。
フィンランドは「森と湖の国」と呼ばれ、国土の約73%が森、約10%が湖や川などの水域です。湖の数は約19万もあるそうです。
国土面積は33万平方キロメートルほどで日本のおおよそ9割程度の大きさです。これは日本から九州を除いた面積くらいと考えられます。
フィンランドの風土や歴史については『北欧フィンランドに観る、情緒溢れる歴史的街並み』という記事の中でも触れていますので、そちらもご覧になってみてくださいね。
フィンランドは南北に細長く、国土の3分の1が北極圏にあるため冬は11月から3月まで長く寒い時期が続きます。ですが、ノルウェー沿岸を流れるメキシコ暖流の影響もあり、緯度のわりには穏やかな気候で、四季も比較的はっきりとしています。
最も暖かい地域の冬は1月初旬から2月末までですが、ラップランド地方の高地など寒い地域になると10月初旬から5月中旬までの長い期間が冬という厳しい環境です。
近年はその年によって平均気温や降雨量、降雪量が変動しており、現地の人でも驚くような気候になっているそうです。夏も冬も毎年違うので標準気候というものでは読めなくなってきているのだとか。
フィンランド文化の象徴というとやはりサウナですね。サウナ発祥の地で、国内に300万以上(2人に1つ以上)もあるという世界一のサウナ王国として有名です。
フィンランドのサウナは熱した石の上に少量の水をかけ、発生した蒸気で身体を温めます。温度はおおよそ60度から100度に設定されています。
これは1,000年以上前から続く風習で、昔から肉体労働による疲労の回復に使われていましたが、今でも国民にとってはリラックスの場や交流の場として欠かせない存在です。
現在、サウナはほとんど全ての家屋に設けられており、一つ以上所有している家もあるほど。それだけではなく、マンションやアパートなどの共同住宅にも設けてあり、時間交代制になっているそうです。
フィンランドでは法律で「自然享受権」という権利が認められています。これは、自然に敬意を払い、土地の所有者に迷惑をかけない限り、他人の土地であっても自由に森の中に出入りすることができるというもので、フィンランドを訪れた人すべてに与えられる権利です。
ただ森に入るだけでなく、キャンプや釣りをしたり、山菜やキノコ、果実を採ることも自由にできるのです。「豊かな自然はみんなのもの」という寛容的な考えは、昔から自然と共存してきたフィンランドならではですね。
もう一つ、おもしろいのが一人あたりのアイスクリーム消費量がヨーロッパの中でも一番多いということ。寒い時期でも家の中は暖かさが保たれていて快適なので、アイスクリームは年中食べられているのだとか。夏にはアイスクリームの移動販売の車を街のいたるところで見かけるそうですよ。ちょっと意外ですね。
フィンランドには歴史ある木造住宅を見られる地域が数多くあります。例えば、フィンランドで一番美しい木造建築の地区のあるトゥルク。フィンランド最古の街で、フィンランド最古のお城「トゥルク城」や最古の教会「トゥルク大聖堂」など歴史的観光スポットも多くあります。
トゥルクの隣にあるのがナーンタリ旧市街。ここではカラフルな木造建築を見ることができます。海に囲まれており、夏にはエンターテインメントやライブミュージックが楽しめる街になっているそうです。
ポルヴォー旧市街はフィンランドで2番目に古い街と言われ、14世紀初めに建てられた「ポルヴォー大聖堂」が街のシンボルになっています。
また、川沿いに並ぶ赤壁の木造倉庫群も大聖堂と並んで象徴的風景となっています。
このほか、ヴァッリラには北欧古典主義スタイルの木造アパートメントがアートのように並んでいたり、美しい港町のラウマ旧市街では石畳の通りに18~19世紀に建てられたネオクラシックの木造住宅が並んだ風情ある景色を見ることができます。世界遺産にも登録されているので観光にはお勧めです。
日照時間が6時間弱、気温がマイナス30度に達することもあるフィンランド。最北端の地域では、太陽が昇らない日が51日間もあるそうです。そんな気が滅入ってしまいそうな環境下で、家の中で快適に過ごすための工夫が見られます。
暖色系の照明やキャンドルを用いて、ほの暗い部屋に温かみのある優しい明かりを灯し、リラックスできる寛ぎ空間を演出します。フィンランドは一人当たりのキャンドル消費量が世界一とも言われているほど、生活に欠かせないアイテムになっているようです。
インテリアも明るい色・柄を取り入れたり、自然や動物モチーフのあたたかみのあるデザインを好んで、気持ちがハッピーになれる心地よい部屋づくりをしています。
そして、お家に友達を招いたり、家族でゆっくり食事を楽しんだりして過ごします。鍋料理やオーブン料理など、昔ながらの素材の味を生かしたシンプルなものが多く見られます。パスタも定番料理になってきているそうです。
また、お酒を飲んで身体を温めるという過ごし方をしたり、コーヒーや紅茶など温かい飲み物に伝統的な焼き菓子を添えて、まったりと休息する時間も大切にしています。
休日は家族と過ごす時間。多くの人が森や自然の中でただただのんびりと歩いて過ごすのだとか。日常から離れて日々の疲れをデトックスすることができます。フィンランド人はこのような自然の中で過ごす時間を大切にし、幸せと感じることができるのです。
以前、別の記事『北欧諸国はどんな国?各国の住宅の特徴とは』の中でもフィンランドの住宅の特徴についてお伝えしていますが、フィンランドでは住居法で「室内温度と換気についてのガイドライン」があります。
住居とする建物の室内温度は17~21度に保たれるように基準値が定められており、その温度を下回ったり、維持できない場合は倉庫や物置き場と同じ建物として扱われてしまうそうです。
そのため、温度を維持するために壁に断熱材をしっかりと詰め、二重もしくは三重窓を採用しています。室内はセントラルヒーティングで暖められており、いつでもどの部屋でも均一の温度が保たれているので、寒い冬でも家の中はとても快適なんです。
また、窓や窓枠についても同じガイドラインで窓の熱貫流率(U値)の最低基準は1.0と定められています。この「熱貫流率(U値)」という指標は、窓の断熱性能を表すもので、数値が小さければ小さいほど断熱性能が高いということになります。
フィンランドの最低基準値は世界で一番低く、欧州の中でも「気密性の高い窓の先進国」と言われているのだそうです。
外観は木製サイディングのシンプルなデザインが特徴で、積雪対策として三角屋根が多いです。また、外気の侵入を防ぐために、玄関部分に必ず風除けスペースを設けるという工夫が見られます。
一般的に西欧の国では玄関ドアが内開きなのに対し、フィンランドでは外気に面するドアを全て外開きにしているのが特徴です。
世界的に有名なフィンランドの建築家兼デザイナー、アルヴァ・アアルトの代表的建築物であるマイレア邸や自邸には、外の自然と家の中との繋がりを大切にしているのが見てとれます。
木製の壁やインテリアで自然のぬくもりが感じられる室内を作り、さらに窓辺に観葉植物を並べるなどして、窓から見える景色との調和を図っています。
北欧テイストの家を作りたいと考えていらっしゃる場合は、こうしたデザインはとても参考になるのではないでしょうか。
写真のとおり、アアルト自身が手掛けた名作家具がおかれたリビングはまさに北欧インテリアのお手本と言ってもいいでしょう。写真からもほっと落ち着ける心地よさが伝わってきます。
周辺に緑がある場合やお庭を作る場合など、窓から見える景色も意識して窓の大きさや配置などを考えてみるのもいいですね。
インテリアにも木の素材感を大切にしたものを選んだり、柔らかく包み込んでくれるようなぬくもりの感じられる素材や色・柄ものを合わせて、心地よい空間づくりをしてみてはいかがでしょうか。
今回は、「フィンランドの住宅から学ぶ北欧住宅のつくり方」をお伝えしてきました。寒さの厳しい環境下で、暮らしの中や家の造りには快適さを求めたさまざまな工夫が見てとれました。
たまには部屋の明かりを落として、キャンドルを灯し、あたたかい明かりに包まれながら温かい飲み物と美味しいお菓子を用意して、静かにまったりと過ごしてみるのもいいかもしれませんよ。
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